雇用者報酬

Compensation of Employees

雇用者報酬は、生産活動から発生した付加価値のうち、労働を提供した雇用者(employees)への分配額を指すもので、第1次所得の配分勘定では、家計部門の受取にのみ計上される。雇用者とは、市場生産者・非市場生産者を問わず生産活動に従事する就業者のうち、個人事業主と無給の家族従業者を除くすべての者であり、法人企業の役員、特別職の公務員、議員等も含まれる。雇用者報酬は、内訳として、「賃金・俸給」と「雇主の社会負担」に分かれ、後者はさらに「雇主の現実社会負担」と「雇主の帰属社会負担」に分かれる。
賃金・俸給は、現金と現物の給与の双方を含む。このうち現金給与は、所得税や社会保険料のうち事業主負担分等の控除前の概念であり、一般雇用者の賃金、給料、手当、賞与等のほかに、役員報酬(給与や賞与)、議員歳費等が含まれている。現物給与は、自社製品等の支給など、主として消費者としての雇用者の利益となることが明らかな財貨・サービスに対する雇主の支出であり、給与住宅差額家賃も含まれる。このほか、賃金・俸給には、雇用者ストックオプション(権利付与され、権利確定前のもの)が含まれる(「金融派生商品・雇用者ストックオプション」の項参照)。
雇主の現実社会負担は、概念上、雇主の現実年金負担と雇主の現実非年金負担から成る。雇主の現実年金負担は、社会保障制度を含む社会保険制度のうち年金制度に係る雇主の実際の負担金を指し、社会保障基金のうち公的年金制度への雇主の負担金とともに、厚生年金基金や確定給付企業年金、確定拠出企業年金等の年金基金への雇主の負担金が含まれる。ここで、年金基金への雇主の負担金の中には、雇主による退職一時金の支払額のうち、発生主義の記録の対象となる部分も含まれる。一方、雇主の現実非年金負担には、社会保障制度のうち、医療や介護保険、雇用保険、児童手当に関わる雇主の負担金等が含まれる。
雇主の帰属社会負担は、概念上、雇主の帰属年金負担と雇主の帰属非年金負担から成る。雇主の帰属年金負担は、企業年金のような雇主企業においてその雇用者を対象とした社会保険制度(雇用関係をベースとした社会保険制度)のうち確定給付型の退職後所得保障制度(年金と退職一時金を含む)に関してのみ計上される概念であり、企業会計上、発生主義により記録されるこれら制度に係る年金受給権のうち、ある会計期間における雇用者の労働に対する対価として発生した増分(現在勤務増分)に、これら制度の運営費(「年金制度の手数料」と呼ばれる)を加えたものから、これら制度に係る雇主の現実年金負担を控除したものとして定義される。一方、雇主の帰属非年金負担には、発生主義での記録を行わない退職一時金の支給額や、その他無基金により雇主が雇用者に支払う福祉的な給付(私的保険への拠出金や公務災害補償)が含まれる。

出典:内閣府