普通社債

民間の事業会社が商法等にもとづき発行する債券で、慣行的に、電力会社(10社)が発行するものを電力債、それ以外の会社が発行するものを一般事業債と呼んでいる。日本放送協会が発行する放送債と帝都高速度交通営団が発行する東京交通債は、厳密にいえば政府関係機関債であるが、慣行上、事業債として扱われており、また、昭和60年4月1日より民営化されたNTTの発行する社債、JR各社・JTの発行する社債も事業債に分類されている。また、平成11年10月より普通銀行の社債が発行されている。

従来、事業債には原則として物的担保をつけるという、いわゆる有担保原則が昭和初年度以来確立していた。しかし近年、国際化の進展等から徐々に緩和され、現在では無担保社債の発行が認められている。

また、社債の発行限度については、旧商法 297条で貸借対照表の純資産額を限度とする旨定められていたが、社債発行限度暫定措置法という特別法により、この限度の2倍まで発行可能であった(ただし、商法の定める限度を超える分は、一般の無担保社債以外、つまり担保付社債、転換社債か、外国で発行する無担保社債でなければならない)。しかし、平成5年6月の商法改正において、この社債の発行限度に関する規制は、社債発行限度暫定措置法も含め、撤廃された。

普通社債は、民間事業会社が発行する債券で、その発行条件は、現在主に以下の2通りの方式により行われている。

a.プロポーザル方式

発行会社は、引受証券会社から個別に発行条件等の提示を受け、その他の事情等を勘案し、発行体としての総合的判断にもとづき主幹事証券会社を決定する。発行会社と主幹事証券会社は協議の上、具体的な発行条件の決定、幹事・引受団の組成を行う。この場合幹事及び引受団体各社は、自らの判断により幹事・引受団への参加を辞退することができる。

このプロポーザル方式は、昭和62年5月に発行されたNTT(日本電信電話株式会社)債を第1号として導入された。その後、プロポーザル方式の適用範囲は電力債等一般担保銘柄に拡大され、63年4月からは公募適格会社全社に拡大、発行企業に有利にはたらく一方で、証券会社間での幹事獲得をめぐる競争が激化し、市場の実勢とはかけ離れた、発行者に有利な条件を持ち込んだりする結果となった。このため平成3年12月に安定消化を目指し、事前に需要予測をヒアリングして条件設定を行う「均一価格販売方式」が導入され、現在ではこれが一般的になっている。

b.均一価格販売方式(FPR)

国内公募普通社債における均一価格販売方式は、平成3年12月に導入された。この発行方式は、米国債券市場において伝統的に行われており、最近ではユーロ市場においても主流になっている。

均一価格販売方式の一番の特徴は、その名のとおり募集期間中は、販売価格が発行価格で固定され、いわゆるレス販売は認められていないことである。発行条件は幹事団等により投資家需要を参考に決定され、また、各引受会社の販売希望額を考慮したうえで主幹事会社が販売分担額を決定するために、販売分担額と引受責任額が必ずしも一致するわけではない。この点から各引受会社の販売力に応じて販売がなされるため、債券の値崩れ防止効果を持つといえる。その他の特徴としては、引受手数料がプロポーザル方式よりも低く押さえられていること、募集期間中は、販売に専念するためにマーケットメイクは募集期間終了後に行われること、等があげられる。

また、より迅速、円滑な流通取引への移行を目指し、募集総額が発行総額に達し、販売が終了したと主幹事が確認した後は、均一価格リリース宣言を行うことにより、均一価格以外の価格で売買が可能となる均一価格リリース方式も導入された。

出典:一般財団法人地方債協会